「生きていることと死んでしまっていることと、それは両極ではなかった。それほどに差はないような気がした」
自身も2013年に身近な友人を自殺で失って以来、生と死という概念の更新やメンタルヘルスの改善、社会の周縁に生きる命への眼差しをテーマに映像製作を続けていた太田の脳裏に蘇ったのが志賀直哉の短編小説『城の崎にて』の一節であった。
ヨーロッパでコロナ陽性者が爆発的に増える中、フランスで活動する俳優、縫(ぬい)は共演者だった男性をコロナ感染の影響で失う。つい先日まで彼と舞台の上でキスを交わしていたはずなのに、なぜ自分だけ生き残ってしまったのか…?繰り返し湧き上がる問いへの答えが見出せない彼女はある日を境に声が出なくなり、5年ぶりに日本への帰国を決意。城崎温泉へ養生にいくことに。偶然に亡くなった仲間と、偶然に生き延びた自分。自身の生を肯定することができないなか、昆虫エネルギー研究所所長、蛸川(たこがわ)と出会った縫は…。
監督:太田信吾
企画:ハイドロブラスト
制作:エムマッティーナ
金額:1,000円(税抜)
監督:太田信吾
企画・制作:Midnight Call Production
金額:3,000円(税抜)